筋肉が伸びきったゴムひものようにならないために、柔軟性と弾力性を備えた練習をしましょう。
■無意識に活躍する「伸張反射」機能を磨く
意識的に身体を動かす部分では、「着地したところで、すべて終わり」と申し上げましたが、人間の身体の機能は、「無意識のうちに動いてくれる」という素晴らしい特性も秘めています。そこで、ここから先は、無意識に動いてくれる筋や腱の機能を高める方法について、紹介していきます。これができるようになると、無意識のうちに身体が正しく動いてくれるので、長時間走り続けるフルマラソンで、大いに役立ってくれるはずです。
さて、楽に走るためには、地面に着地した瞬間に、「伸びている筋肉や腱が無意識のうちに縮んでいく」反射機能を上手く使えるようになることが理想です。この伸びている筋肉や腱が無意識のうちに縮んでいく反射機能のことを、伸張反射機能と言います。
人間の筋肉は、本来、ゴムやバネのように「伸びた後は、勢いよく戻る」といった柔軟性と弾力性を備えています。それが長年の運動不足や悪い姿勢といった悪弊が積み重なって、次第に柔軟性や弾力性が失われていきます。雨ざらしになって傷んでしまったゴムホースと同じです。同時に、適度に負荷のある運動をやらなくなったため、柔軟性はあるけれど弾力性がない、筋肉になりがちです。古くなって、伸びきってしまったゴムひものようです。また、動きを意識しないまま、ただ単純に運動量を増やそうとして、走ったり、歩いたりしていても、筋肉はどんどん硬くなり、関節の可動域が小さく狭くなっていきます。これを防ぐには運動量が増えても、さらに柔軟で弾力性のある筋肉になるような動きを身につけることが大切なのです。
(「正しく歩いて東京マラソン完走」)
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