●胃炎…胃の粘膜を保護する栄養をとる
胃の痛みについては、胃酸との関係がよくいわれる。胃酸が出すぎるために胃が荒れてしまうのだ。ところが、実際には胃酸の分泌が多くて胃にダメージを与えている人はあまりない。
ほとんどが胃酸の分泌は少ないにもかかわらず、胃を荒らしてしまっているというケースなのだ。どういうことか。胃酸から胃の粘膜を保護する働きが弱くなっているために、少ない胃酸でも胃が大きなダメージを受けてしまうのである。
少し専門的にいうと、酸と防御因子(胃を守るシステム)のバランスの乱れによって胃の症状が出ているということになる。つまり、酸の分泌に比べて相対的に防御因子の働きが低下しているというわけだ。防御因子を増やしてその働きを強化すれば、酸を減らさなくても胃の症状は取り除かれるのである。
最近になり、薬局でも買うことができるようになったH₂ーブロッカーと呼ばれる胃薬は、胃酸の分泌を抑えることによって症状をやわらげ、取り除こうとするものだが、胃酸を減らすということは、胃酸の働きを弱めることでもある。ここに大きなデメリットがある。
胃酸は私たちが食べたものを酸で細かく分解し、食材に含まれている毒素を消す作用を担っている。胃酸が減ったら、その初期消火がうまくいかないし、毒素が体に入りやすくもなる。その結果、体にとって大事なたんぱく質やミネラルの消化吸収が十分におこなわれず、さらに毒素による弊害が起きやすくなるのだ。
その意味からも胃の症状に対しては、胃酸を減らすのではなく、胃の粘膜を保護する力を高めるという方向で考えるべきである。そのためには栄養を十分に供給する以外にない。
胃の粘膜を守る主役は胃の壁から出てくる粘液のネバネバ成分だ。その粘液が粘膜を覆って胃酸で溶けないようにしてくれる。ネバネバ成分はコンドロムコタンパクというたんぱく質からつくられている。
コンドロムコタンパクの材料になるのは動物性たんぱく質に含まれているアミノ酸。特にサメの軟骨に多く含まれている。
「どうも、胃酸が弱くて。すぐ薬のお世話になってしまう」
といった人が少なくないのではないか。ここはスタンスを思いきって変えて、胃酸を減らして胃の痛みを抑えることから、粘膜の保護機能を強化させることで痛まない胃にするという方向に舵を切ってはどうだろうか。
(「薬がいらない体になる食べ方」)
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