●子どもに薬を与えることのリスク
子どもの病気に親は極めて敏感だ。「ちょっと熱がある」となれば、すぐに病院に駆け込んだり、ドラッグストアに走ったり……。もちろん、子どもの健康に細やかな注意を払うのは当然だが、あまりに薬に頼っている傾向があるように見えるのが、私にはかなり気がかりである。
薬は栄養とは違って分子がとても小さい。そのため腸粘膜のバリアをすり抜けてしまうのだが、その後に体を巡る過程でも大きな問題があるのだ。私たちの脳には血液脳関門というシステムがあり、脳に入っては具合の悪いものは入れないという働きが備わっている。いわば、脳の機能を乱さないための”関所”の役割をこの血液脳関門は担っているわけだ。
薬の多くはこの関所も通り抜けてしまい、脳の神経細胞まで届いてしまうのだが、なかには引っかかるものもある。つまり、一定程度のバリア機能は果たしているわけだ。ところが、子どもの場合は血液脳関門が未熟なため、成人では関所で止められる薬も入ってしまう可能性がある、とされているのだ。
(中略)
実際、薬の影響が子どもにより多く出やすいことは臨床的にもわかっている。たとえば、インフルエンザの治療に使うタミフルによって、異常行動が出るのは子どものほうが明らかに多い。これは成長期の子どもの脳が影響を受けやすいということを物語っているといえるだろう。
(中略)
タミフルと同じような作用があると思われるものに、うつ治療に使われるパキシルなどのSSRIがある。
ここまで見てきたように、子どもは薬の弊害が出るリスクが高いことは間違いない。それだけに使用については慎重な態度が望まれるわけだが、実際には風邪をひいた、鼻炎になった、中耳炎だ……といったケースで、考えも迷いもせず、安易に抗生物質など多くの薬を飲ませていることが多い。
「この子たちは、将来、本当に抗生物質が必要な気管支炎や肺炎になったときにどうするのだろう?特定の1種類か2種類の抗生物質しか効かなくなってしまうのではないか」
そんな不安が膨らむばかりだ。
子どもを保育園に通わせているお母さん方には、少しでも早く保育園に預けたいために抗生物質や強い薬を希望してくることがある。一般的なウイルス性の風邪には抗生物質は無効であり、治癒までの期間を短くしてくれることはない。さらにちょっとした発熱で解毒剤を使うと、完治するまでの期間も長くなってしまう可能性があるのだ。
感染症にかかったら、一通りの症状が出て治るものである。基本的には、日頃から食べ物や栄養に気をつけ、免疫を高いレベルに維持しておくことが、風邪にかからず、なっても早く治ることにつながるのである。
(薬がいらない体になる食べ方)
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