遺伝よりも習慣

●病気の大半は遺伝よりも習慣に原因がある


病気になる人には、それだけの理由が必ずあります。


食生活が乱れているか、食べ方が間違っているか、または生活習慣が乱れているか、あるいはそのすべてということもあります。

(中略)

では、なぜアメリカ人の上流の人と庶民の間で食生活の「差」ができてしまうのでしょうか。


一つはコストの問題があります。野菜や果物を購入する際、少しでもフレッシュなもの、農薬や化学肥料を使っていないものを選ぼうとするとどうしてもコストがかかります。これは日本でも同じだと思いますが、よい食物はやはりそれだけ値段も高いのです。そのため、同じ情報を同時に得たとしても、それをすぐに実践できるのは経済力のある層から、ということになってしまうのです。


そしてもう一つの要因は、アメリカの場合は、知識力と経済力が正比例しているからだと思います。食事が病気の原因となっているという情報を得たとしても、その意味の深刻さをきちんと受け取って、実際の自分の生活に反映させるにはそれなりの知識力が必要です。


その結果、いまアメリカでは健康な富裕層と不健康な庶民層に分かれつつあります。そして、この傾向はこれからますます強くなっていくのではないかと思っています。なぜなら今後、それぞれの階層でいまの食生活が「習慣」として受け継がれていくからです。


中高年になって、親と同じ病気を発病する人はとてもたくさんいます。糖尿病、高血圧、心臓病、そしてガン。そうしたときに「親もガンだったからしかたないよ。うちはガンの家系なんだよ」という人がいますが、そんなことはありません。遺伝的要素ゼロだとはいいませんが、最大の原因は、親が病気になった原因である「習慣」を受け継いでいることにあります。


子供は育った家庭の「習慣」を無意識のうちに刷り込まれて育ちます。食べ物の好み、調理法、生活のサイクル、価値観などは家庭によってそれぞれ違いますが、同じ家で育った親と子ではとてもよく似ています。つまり、子供が親と同じ病気を発症しやすいのは、遺伝子として病気の原因を受け継いだからではなく、病気の原因となった生活習慣を受け継いだ結果なのです。


よい食材を選ぶ、よい水を選ぶ、規則正しい生活をする、薬は極力飲まない、そうした体によい習慣を受け継げば、子供はそれほど苦労せずに健康を維持しつづけることができます。しかし逆に、酸化した食物を平気で食べる、ミネラルウォーターを買ってまで飲むことはしない、具合が悪くなるとすぐに薬に頼る、不規則な生活をする、そうした体に悪い習慣を受け継ぐと、子供は親よりもさらに不健康になってしまうでしょう。

(「病気にならない生き方」)




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