オメガ3・オメガ6

ベジタリアンでは健康になれない?


●オメガ3・アミノ酸の慢性欠乏


食事中の脂肪は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。


「飽和」というのは、化学式上に二重結合がなく、水素で飽和されている脂肪です。飽和脂肪酸の代表は、ココナッツオイル・パームオイル・母乳などのラウリン酸、牛肉・卵・ミルク・鶏肉・魚介類などのパルミチン酸、肉類・卵・チョコレートに含まれるステアリン酸があります。


一方、「不飽和」脂肪酸は、構造上何個二重結合があるかによって単不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれます。単不飽和脂肪酸は、オリーブオイル、アボカド、ナッツ、牧草育ちの家畜肉などのオレイン酸があります。多価不飽和脂肪酸はいわゆる「必須脂肪酸」と呼ばれるものです。


多価不飽和脂肪酸はさらにオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸に分けられます。


オメガ3脂肪酸には、亜麻仁油・大麻油・シソ油・ウォールナット油などのα-リノレン酸、魚介類・牧草育ちの家畜肉・卵に含まれるEPA、DHAがあります。オメガ6脂肪酸には、サフラワー油、ひまわり油などの植物油に含まれるリノール酸があります。


さて、こうした必須脂肪酸の中でもとりわけ重要と言えるのが、オメガ3脂肪酸の仲間であるEPA、DHAです。EPAは、強力な抗炎症作用や抗血栓作用を持ちます。DHAは、胎児の脳の成長と生涯を通じての認知機能の維持に必須の脂肪酸です。


健康な食事の指標としてオメガ3脂肪酸/オメガ6脂肪酸の割合があります。


「狩猟採集時代の食事」ではおよそ1:1~2の割合でしたが、現代食ではこの割合が1:10になります。オメガ6脂肪酸が現代食で増加する理由は、それを含む植物油の頻用によるものと考えられています。


ベジタリアン、ヴィーガンの食事では、植物性の油であるオメガ6脂肪酸や亜麻仁・大麻油などのα-リノレン酸であるオメガ3脂肪酸は摂取できます。


ただ、草食動物や魚類は植物から摂取したα-リノレン酸を体内でEPA、DHAに変換できますが、私たちは植物から摂取したα-リノレン酸を体内でEPA、DHAに変換する酵素が十分に働きません。これは、私たちの食事が肉食中心に移行したことで起こった遺伝的変化の一つです。

(中略)

したがって、ベジタリアン、ヴィーガンではEPA、DHAオメガ3脂肪酸のサプリメントが必要になります。またベジタリアンで卵を食べる場合は、牧草を食んだ鶏の卵を選ぶとEPA、DHAオメガ3脂肪酸が得られます。

(「間違いだらけの食事健康法」)



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