タバコとニコチンの作用

●タバコとニコチンの作用

 

タバコに含まれるニコチンは無色の油性物質で、依存性があります。依存性になるまでのスピードはどんな麻薬よりも速く、タバコ一箱でも依存性になる可能性があります。タバコを一服するごとに肺から脳へ少量のニコチンが運ばれます。ニコチンの反応速度は速く、血液内のニコチン量は喫煙30分後には半分に、一時間後には4分の1に落ちます。タバコの一箱が20本で、これをほとんどの喫煙者が毎日一箱喫煙するというのは、これにより血中のニコチン濃度が保たれるからです。人がタバコを吸うのは、このニコチンを体内に取り入れるために喫煙をすると解釈することも出来ます。

 

脳細胞から出ているシナプス間の刺激・興奮の伝達を担う神経伝達物質にアセチルコリン、ドーパミン、セロトニンなどがあります。ニコチンが脳内に入ると、本来の神経伝達物質の代わりに作用するために、他の物質の機能が低下して分泌されなくなると考えられています。これがニコチン依存性(中毒)の状態です。

 

タバコの煙はガス(92%)と粒子(8%)から成り立っています。この粒子の固まったものがヤニです。ヤニのなかにタールが含まれており、タールには200種類以上の有毒物質、40種類以上の発がん物質が確認されています。タバコは強力な毒物であると考えるべきです。タバコの煙には、喫煙者が吸い込む主流煙とタバコの先から立ち上がる副流煙があります。

 

一般に、副流煙に化学物質は多く含まれており、喫煙者だけでなく、周囲にいる家庭の主婦なども受動喫煙を通じてタバコの被害が大きいと考えられます。

 

●タバコは習慣ではなく麻薬中毒

 

なかなか禁煙できない理由を考えてみると、理由に身体的依存と心理的依存があります。タバコを一本吸い終わると体内のニコチンはすばやく減少し、禁断症状(離脱症状)を引き起こします。ニコチンの肉体的な禁断症状は軽いので、自分がニコチン中毒(ニコチン依存性)だということに気がつかない人がほとんどですが、ニコチン中毒は「麻薬中毒」と同じであるということに気づく必要があります。

 

●喫煙者は洗脳されている

 

人はなぜタバコを吸い始めるのか考えてみましょう。この謎を解く鍵は、人間の「潜在意識」にあるといわれています。タバコの広告は、雑誌、テレビで広く日常目にしており、潜在意識のなかで「タバコはリラックスできる、自信がつく、強くてかっこよい大人の証明である」と洗脳されていると考えられます。若い人がタバコを吸いはじめるきっかけは、「みんなが吸っているから」です。はじめてタバコを吸うと、たいていは、くらくらしたり、冷や汗が出たり、心臓がドキドキしたり、吐きそうになり急性ニコチン中毒の状態になります。しかし、誰かがタバコを吸っているのを見るたびに「タバコにはなにかいいことがあるに違いない」と自分がタバコに慣れるように努力して、自分から進んでニコチン依存性の状態をつくり出しています。

(肺気腫)









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